機能と価値

棚田の機能とその価値

棚田の注目すべき点は、人や環境にとって、さまざまに有益な「多面的な機能」があるところだといわれています。
代表的な機能としては、「食糧生産」「保水」「洪水調整」「国土保全」「生態系保全」「保険休養」などがあげられます。
そして、棚田には、農業的価値はもちろんのこと、環境保全効果や観光地としての文化的価値もあります。棚田の農業的価値としては、以下のようなことが挙げられます。

① 水まわりが良い

平地の田んぼでは、一般的に 一度に大量の水を流し込み、それを一斉に排出します。つまり、水を使い捨てする形で稲作が行なわれます。しかし棚田では雨水や灌漑用水が上から一段ずつ田を潤していくため、水を無駄なく使用することができます。

② 斜面であるため様々な水温で稲が育つ

棚田は斜面であるため、高低で温度差があり、昼夜の温度差も平地の田んぼより大きくなります。様々な水温で稲が育つため、稲がゆっくり登熟し、美味しいお米ができます。また、高低で水温に違いがあることから、最悪の場合でも全滅を防ぐことが出来ます。

③ 水源に近いため水の中にミネラルを多く含み、また汚れが少ない

棚田は雪解け水や山の湧水を水源としています。そのため、水の中にマグネシウムやカルシウムなどのミネラルを多く含み、水源が近いため汚れの少ないきれいな水で稲を育てることができます。

④ 根がよく伸びるため、ミネラル分の吸収が良い

棚田の稲は横根がよく伸び、立根に至っては地中奥深く2~3mも伸びます。そのため地中のミネラル分の吸収がよくなり、健康な稲が育ちます。

⑤ 機械乾燥ができないため、はさ掛け(天日乾燥)により籾が程良く乾燥する

棚田は土地が狭いため、コンバインで収穫・脱穀し、籾を機械乾燥するという作業ができません。そのため、籾がついた稲束をはさ掛け(天日乾燥、はざ、ともいう)することが多く、程良く乾燥します。

 

これらの利点から、棚田米は平地で育てたお米よりもミネラル分豊富で、美味しいお米に育つと言われています。他にも、棚田には治水・治山などの環境保全 効果があり、水がきれいな棚田には様々な生物が暮らしています。また大雨が降っても水や土砂が一気に流れることがないので、洪水や土砂崩れ防止にも役立っ ています。景観的に美しく、多くの生物が生息する棚田は、観光地としての注目も集まっています。このように、棚田には多くの価値があるのです。

 

*上記文章はNPO法人棚田ネットワーク固定ページ(http://www.tanada.or.jp/tanadadate/function/)を参照させていただきました。


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